初めて For the first time




同居生活から始まって、今は同居ではなく二人初めての結婚生活。
そう市丸と日番谷は長い時間掛ったが、やっと結婚が決まった。
二人は相思相愛。
それなのに時間がかかった理由。
それは…。

「冬獅郎がお嫁さんな♪んで、僕がお婿さん。つまり冬獅郎が可愛い僕の新妻vv堪らんわ〜この設定♪」

「ちょっと待て、俺は妻になる予定なんかねぇ。」

「冬獅郎が妻やなかったらどうするん?僕が妻なんて気持ち悪いで?」

「俺が妻でも気持ち悪いだろうが。」

「全然。冬獅郎より可愛い妻なんて誰もおらんもん。」

そう、二人の意見の食い違いだった。
どちらが妻になるか夫になるか。
そこで、妻か夫どちらがふさわしいか自分達の知り合いすべてに聞いて回った。
その結果、案の定全員日番谷が妻と言う意見だった為やっと結婚が決まった。
そして二人は夫・市丸ギン。
妻・日番谷もとい市丸冬獅郎になった。
そして今に至る。

「なぁなぁ、冬〜」

「んだよ。俺は今忙しい…」

今現在冬獅郎は朝食を作っている途中。

「あのな、今日買い物に行かん?」

「俺の言葉は無視かよ…」

冬獅郎の言葉に構わずギンは勝手に今日の予定を決めている。

「先ずは…そうやな〜服屋に行こ!!冬に合う可愛い服を沢山買って、それから〜…」

「はぁ〜;;」

冬獅郎は大袈裟に溜め息をついた。
まだ家事に手慣れていない為、少しの事でも時間がかかる。
しかし、ギンは手伝おうという気は無いらしく一人勝手に今日の予定を言っていた。

「冬獅郎〜聞いてはる?」

「聞いてる聞いてる。ほら朝飯出来たから食え。」

「わ〜!!やっぱ冬獅郎は天才や〜もうこんなの作れる様になったんやねvv」

朝食は至って簡単なハム付目玉焼きとトースト。

「これくらいなら前から作ってたけど…?」

「そうなん?」

「あぁ…。ほら早く食べろよ。冷めちまうだろうが…。」

「そや!!折角冬獅郎が作ってくれたんや、暖かいうちに食べな!!いただきま〜すvv」

やっと食べ始めたギンにまたも冬獅郎は小さく溜め息をついた。


「ごちそうさまvv美味しかったで冬獅郎♪」

「そりゃどうも。」

食べ終わった後はすぐに食器洗い。
もちろんこれも冬獅郎の仕事である。

「………冬獅郎…」

「…んだよ……?」

カチャカチャと食器を洗っていて手が放せない冬獅郎は不機嫌ながらもギンに返事をした。

「僕な、冬獅郎の事めっちゃ好きや。」

「…ん///」

言いながらギンは冬獅郎の元へ近付いていて来た。

「やからな、やっぱりご飯作るのとか食器洗うのとかは一緒にせぇへん?」

「…は?」

冬獅郎の食器を洗っている手に自分の手を重ねて言った。
冬獅郎は当然驚いた顔をした。

「妻と夫に分けたかて、僕らの愛は変わらへん。」

「………」

「僕も…冬獅郎だけ学んぶんやなくて、一緒に…冬獅郎と一緒にいろんな事学んで行こ思てな。」

食器を洗っている手は止まり、水道水は流れっぱなし。

「迷惑?」

冬獅郎がうつ向いているので、ギンは冬獅郎の顔を覗き込んだ。

「そんなこと、ない…。」

「ほな、今から僕も食器洗うの手伝うわ。」

「じゃ、全部よろしく。俺、洗濯してくるから。」

泡のついた手を洗い、軽くタオルで拭いてから洗面所へ向かった。

「えっ、ちょ、冬獅郎〜!!一緒にする言ったばっかりやん!!」

パタパタと走っていった冬獅郎を見たギンは、かなり凹んでいたが食器洗いをサクサク始めた。

(冬獅郎、こんな冷たい水で洗ってたんや…。後でぬくぬくしたろvv)


洗面所に向かった冬獅郎は顔を赤くして座り込んでいた。

「あんなの不意打ちだっての…///」

ドキドキいう心臓が落ち着くまで、そのままの体勢でいた。

「よし、洗濯するか。」

やっと治まったドキドキ感にほっとしつつ、洗濯機を扱い始めた。


「冬獅郎〜、食器洗い終わったで〜。」

食器洗いより洗濯の方が早く終わった為、後は洗濯機が知らせてくれれば干すだけの状態の冬獅郎はリビングでのんびりしていた。

「ん?あぁ、後は洗濯物干すだけだな。手伝ってくれるんだろ?」

微笑ましい(?)笑みを浮かべ、冬獅郎はギンの側へ移動した。
そんな冬獅郎を見て黙っているはずのないギンは、側に来た冬獅郎を抱いてソファに座った。

「当たり前やん。冬獅郎はバスタオル干すとき届かんもんね」

「うるせぇよ…///」

ギュッと抱き締めて、これからヤれる雰囲気か…と思った。
しかし、そんな上手くいく筈はない。

♪〜〜♪〜♪……

「あ、洗濯終わった。ギン、干してきて。」

丁度いい(ギンには悪い)タイミングで洗濯が終わった事を洗濯機は知らせた。

「冬獅郎と一緒にするんやないん?」

「一人でやれよ。俺だって一人でやってきたんだからさ。」

「そんな〜…」

しくしくと、泣く真似をしてみるが冬獅郎には意味がない。

「終わったら、掃除な〜。」

洗面所へと向かうギンに向かって叫んだ。
ひらひらと片手を振り、了解ですと伝えたギン。
それを見た冬獅郎はソファに寝っ転がった。
段々と眠くなった冬獅郎はそのまま夢の中へと引きずり込まれた。

洗濯物を干し終わったギンはソファで寝ている冬獅郎に気付いた。

「あら?冬獅郎寝てるやん。」

スヤスヤと寝息をたてている冬獅郎を起こすのは悪いと思い、ギンは冬獅郎に言われた通り掃除を始める事にした。
しかし、掃除など生まれて一度もやったことが無い。
掃除機を四苦八苦しながら掛けていく。
が、余計な物を吸い込んでしまったり、掃除機につまづいて転んだり…汗だくになりながら掃除を頑張っていた。
その間も冬獅郎は起きる気配がなく気持ちよさそうに寝ていた。

掃除をし終わったギンは冬獅郎が目覚めるまで、側にいて本を読んでいた。
暫くすると、冬獅郎が目を覚ました。

「ん……。あ、俺いつの間にか寝てた。」

ふぁ〜と欠伸をし、両手を伸ばして伸びた。
冬獅郎が起きたのは、昼を少し過ぎた頃。

「起きた?冬獅郎。」

横を見ればギンが読んでいた本を閉じて冬獅郎を見ていた。

「あぁ、悪い。寝ちまった…今からでも良いか?」

「何が?」

「昼ご飯。」

眠気眼を擦りながら立つ冬獅郎にギンは冬獅郎の腕を取った。

「?」

台所へ向かおうとした足は止まり、何故止められたか分からない様子の冬獅郎はギンを見た。

「お昼ご飯な、僕が作ってん。食べてくれへん?」

「ギンが?」

コクンと頷くギン。
そして立ち上がる。

「ちょっと待っててな。」

パタパタと台所に行ったギンが持ってきた物は、白いご飯にふりかけが掛ったものと玉子焼き。
焦げていて、玉子焼きとは言えないような物だった。

「ギンが作ったのか?」

「他に作る人おる?」

「いない。食べていい?」

「冬獅郎の為に作ったんや。」

ギンが持ってきた箸を取って玉子焼きへと箸を伸ばす。
口へ運ぶ時にも少し焦げた臭いがした。
ぱくっと玉子焼きを口に入れればほろ苦い甘さ。
砂糖を沢山入れたのだろうか。
苦さとは別に甘さが口の中で広がっていく。

「ん、美味しい…。」

「本当?」

「あぁ」

決して美味しいとは言えない味だが、冬獅郎は美味しいと言った。

「朝も玉子やったからどうかと思ったんやけどな、玉子焼きしか作り方知らんかったし…。」

「ギンが初めて俺に作ってくれた料理だな。」

目を閉じれば初めての料理を頑張っているギンの姿が浮かんでくる。

「掃除もしてくれたみたいだし。サンキューな。」

ちゅっと軽く触れるだけのキスを送った。

ギンは真っ赤になった冬獅郎を抱き締めて、ありがとうと囁いた。

暫くしてギンから離れた冬獅郎は時計を見た。
針は1時過ぎを指していた。

「さて、買い物にでも行くか。ギン、行きたがってたろ?」

「そやね。今までの感謝の分沢山買ってあげるなvv」

上着を用意して、靴を履き玄関の鍵を閉めた。
それからはいろんな店に入っては出てを繰り返し、家に帰りついたのは7時を過ぎていた。

「お腹空いたな。」

「今日は一緒に作ろ?本当は僕一人で作りたいんやけど、何も作れへんし…」

「あぁ、そうだな。今日はハンバーグ作るからな。」

「僕頑張るなvv」

台所へと立った二人。

その後、ハンバーグではない何かが出来たのだが、それは二人しか知らない。

「なんでハンバーグじゃねぇんだ!!??」

「僕が邪魔しました。すみません…」

土下座をしたギンが初めて冬獅郎から見下された。





END 07.05.16