檸檬 A lemon
「酸っぱい…」
「まぁ、そりゃあ当たり前だろ…。」
つい先程日番谷が口にしたのは、紅茶の隣に置いてあった檸檬。
「にしても、偶然と言えど冬獅郎に会えて嬉しかったぜvこうやってデートもできたんだし…」
今日は現世で任務の後に黒崎に偶然会ったので、ちょっと休憩がてらのデート。
本来日番谷は任務の後報告書を提出しなければならないのですぐに尸魂界に戻らなければならないが、今回は珍しく松本が報告書作成をしてくれると言ってきた。
『報告書の方は私が作成しておきますので、最後のチェックだけ確認してくれれば、ちょっとだけ一護とデートしてもいいですよvV』
最初は日番谷も、普段仕事サボり魔の松本に任せるつもりはなかったのだが、一護が『今回だけは信じてみたら』と言ったので、信じる事にした。
「冬獅郎、檸檬はこうやって使うんだよ。」
一護は日番谷が檸檬をそのまま口の中に入れたのを見て、クスクス笑いながら檸檬の使い道を教えてあげた。
「檸檬を茶の中に入れて美味しいのか?」
「この飲み物は紅茶って言うんだ。紅茶には好みでミルク入れたり砂糖入れたり、こうやって檸檬入れたりして飲むんだぜ?」
「ふ〜ん…。」
多少の興味はあるのだろうが、一護が檸檬を入れた後の紅茶を飲もうとはしない。
「どうした?もしかして冬獅郎檸檬嫌いだった?でもそれなら丸かじりなんてしないよな(笑」
「わ、笑うな!!///本当に知らなかったんだから別に良いだろ!!!」
「まぁまぁ、誰も悪いなんて言ってないだろ?ただ可愛いなって思っただけさvv」
「なっ///」
顔を真っ赤に染めた日番谷は紅茶の様な頬をしていた。
「で、飲まねぇの?」
「一護から飲んで…?」
つまりは毒味と言ったところか。
確かに初めて見る食べ物を口に出来る事なんて勇気がいる。
しかし誰か信頼できる人がそれを食べれば、大丈夫だと脳が認識し簡単にとまではいかないが口にすることができる。
ゴクっ…
「…ほらよ。大丈夫だろ?」
喉を鳴らして紅茶を飲んだ一護はカップを日番谷に渡した。
日番谷は受け取ったカップを見つめ、意を決し、カップを口に持っていった。
コク…。
「どうだ?」
一護が恐る恐る聞いてみた。
「…よくわかんない…。」
「ははっ、なんだよそれ。」
「なんか、甘くもないし苦くもない…。」
「ん〜そりゃぁなぁ、檸檬しか入れてないからな。」
砂糖を入れれば甘くなるのだが、あいにく入れたのは檸檬だけ。
「ん。一護のは?」
「俺?俺のはコーヒーって飲み物だぜ。飲んでみるか?」
「うん。」
コーヒーの入ったカップを日番谷に渡した。
日番谷はいっきに飲もうとはせず少し舌をつけた。
「にがい…。」
「まだ砂糖もミルクも入れてないからな。入れて飲んでみるか?」
一護はブラック派では無いのだが、何故か何も入れずにいた。
理由は至って簡単。
日番谷がブラックコーヒーを飲んだ時の表情が見たかったから。
一護は砂糖をひとさじ、ミルクを適量いれて日番谷に渡した。
「ほらよ。これなら大丈夫だろ?」
日番谷は一護からカップを受け取りゆっくりと口にカップを持っていった。
コク…
「どうだ?」
「あまい…。けど美味しい。」
「そりゃ良かった。」
微かな笑顔を向けた日番谷に一護は一安心した。
「こっちにはいろんな飲み物があるんだな。」
「そうだな。今度またおいしい飲み物があるところ連れてってやるよ。」
「本当?」
「ああ約束だ。」
二人は小指を絡ませ約束した。
END
07.02.11-07.04.14