眠りの幸せ The happiness of the sleep
この時期の気温は寒くもなく暑くもなく丁度いい。
「ふ〜ゆ〜!!」
ガラっ
十番隊舎執務室のドアを開けたのは言うまでもなく日番谷の恋人・市丸ギンだ。
いつもなら、日番谷からの罵声が飛んでくるのだが、今日は何故か執務室が静かだ。
「?ふ〜ゆ〜?」
呼んでみても返事がない。
「ん〜霊圧はある…なぁ。乱菊はサボりでおらんのやろうけど…。どこや〜?っと…」
市丸は書類が積み重なっている机を見ると、日番谷が気持ち良さそうに眠っていた。
「なんや、寝てるやん。疲れとったんやろか…。まぁいつも冬は頑張ってるさかい。寝かせといたるか…。にしても可愛えぇなぁ〜」
すうすうと寝息をたてて寝ている日番谷はいつもの眉間の皺もなく、年相応の寝顔だった。
「よっ…と、このまま寝たら風邪ひくで」
市丸は日番谷の背中と膝裏を支えソファに移動させた。
よほど深い眠りに陥っているのだろう。
こうやって抱えて移動させても起きる気配はない。
…が、日番谷の手が市丸の死覇装を掴んだ。
一瞬市丸は日番谷が起きてしまったと思ったのだが、当の日番谷は全然起きる気配などない。
日番谷をソファに移動させた後、風邪をひかないようにと、自分の羽織を日番谷に掛けた。
その間ずっと日番谷の手は市丸の死覇装を掴んだままだった。
「僕はどこにも行かへんで…」
市丸の呟きが聞こえたのかどうかはわからないが、市丸が呟いた後の日番谷の顔には微かな笑顔があった。
市丸はそのまま日番谷の隣に腰掛けて、軽く日番谷の額にキスをした。
いつのまにか市丸にも眠気が襲ってきた。
しばらくしてサボりの松本が帰ってきた。
「ただいま戻りましたぁ〜♪って、隊長…?とギン?」
松本が帰ってきた時にはすでに二人とも夢の中。
「なんだ寝ちゃってるの?隊長…お疲れ様です。」
市丸にも寒くないようにと掛け布団を掛けてやり、そっと執務室から出ていった。
その時の二人の顔はとても幸せそうだった。
END
06.12.14